「“界面活性剤”は肌に悪い」というイメージを持ってはいませんか?
“界面活性剤”は、実はたくさんの種類があります。例えば洗うことを目的とした“界面活性剤”(洗浄剤)は、化粧品にふくまれるものの一つです。
洗浄料は、主にクレンジング料や洗顔料、シャンプーなどに含まれています。この洗浄料は洗い落とすという点で、何かと悪者にされがちです。
しかし、肌への影響を気にするなら、洗浄料そのものを悪者にするのではなく、クレンジング料や洗顔料の使い方のコツをおさえることが一番重要なのです。
そこで今回は、“界面活性剤”の中でも、洗浄料とはどんなものなのか、また洗浄料と上手く付き合っていく方法についてご紹介していきます。
1.洗浄するための“界面活性剤”とは?
洗浄を目的にした、“界面活性剤”(洗浄剤)についてご存じでしょうか。この洗浄料が含まれる化粧品には、クレンジング料や洗顔料、シャンプーなどがあります。
では、“界面活性剤”とは、そもそもどういうものなのでしょうか。また、肌にどのような影響を与えるのかをご紹介していきます。
1-1.化粧品の“界面活性剤”について
“界面活性剤”は、何千種類も存在します。そして、それぞれの役割によって、使われる“界面活性剤”の種類は異なります。
“界面活性剤”とは、水と油のように混ざらないものの「界面」にはたらき、二つを馴染ませることができる物質のことを指します。水と油をコップに入れると、混ざり合うことはなく境目ができますよね。この二つの物質の境の面のことを「界面」といいます。
このような水と油を馴染ませる働きを利用して、化粧品にはよく“界面活性剤”が使われているのです。
その目的としては、汚れを取り去ることや、美容成分を肌の角質層まで浸透しやすくすること、乳液やクリームが分離しないように安定させることなどがあります。
1-2.洗浄のための“界面活性剤”について
ここからは、化粧品に含まれる“界面活性剤”の中でも、汚れや余分な皮脂を洗浄することを目的とした、洗浄料としての“界面活性剤”についてお伝えします。
肌に使う、クレンジング料や洗顔料に含まれる洗浄料は、メイク汚れや皮脂汚れ、古い角質などを洗い落としてくれます。
しかし、これらの汚れを落とす段階で、ゴシゴシと力を加えて洗顔をしたり、薄化粧なのにしっかりメイク向けのクレンジング料を使用したりすると、肌に必要な皮脂まで洗い落としてしまうことがあるのです。
肌は「皮脂膜」という汗と皮脂が混ざってできた薄い膜に覆われ、保護されているといわれています。
過剰な洗顔やクレンジングによってこの「皮脂膜」が洗い落とされてしまうことで、肌が乾燥しやすくなってしまう場合があります。
“界面活性剤(洗浄剤)”が悪者のように見えてしまうのは、主にこうしたことが原因だと考えられています。
2.“界面活性剤(洗浄剤)”と上手く付き合うには
洗浄するための“界面活性剤”と上手く付き合っていく秘訣は、クレンジングと洗顔の方法にあります。
洗浄料は、ほとんどのクレンジング料や洗顔料に含まれています。そもそもこれらの化粧品は洗浄料がないと作ることができません。メイクや洗顔をするからには、使わないわけにもいかないですよね。
洗浄料そのものを拒否するのではなく、この際、上手く付き合っていくことが一番重要なのです。
2-1.秘訣はクレンジングと洗顔方法にある
メイクをしたら、その都度メイクは落とさなければなりません。そのためには、クレンジング料や洗顔料がどうしても必要となりますよね。
クレンジング料や洗顔料の使い方のコツをおさえることで、肌荒れや肌の乾燥は防ぐことが期待できます。
2-1-1.クレンジング編
ポイント☺
①クレンジングは1分以内で終わらせる
②クレンジング料はメイクによって使い分ける
- クレンジング時間
クレンジングには、洗浄料が比較的多く含まれているため、1分以内で終わらせるようにすることが理想的だといわれています。
クレンジング料を肌にのせたまま、力強くマッサージするのではなく、やさしい力加減で素早くメイクをなじませることがポイントです。
- クレンジング料の使い分け
クレンジング料は、メイクの濃さに応じて使い分けるようにしましょう。
例えばクリームタイプやミルクタイプのクレンジング料は、肌が敏感に傾きがちな方に向けておすすめされることが多いといえます。これは、これらのクレンジング料のテクスチャーがやわらかく、洗い上がりが比較的マイルドなためです。
しかし、クリームやミルクタイプのクレンジング料だけでは、濃いポイントメイクが落としきれないことがあります。
そのため、濃いメイクだけリキッドタイプのクレンジング料で落とすなどの使い分けが重要といえます。
2-1-2.洗顔編
ポイント☺
①キメの細かい泡がつくれる洗顔料を選ぶ
②やさしい力加減で、泡で汚れを洗い落とす
- 洗顔料
洗顔料を選ぶときには、泡立ちがよく、キメの細かい濃密な泡をつくることができるものを選びましょう。
十分に泡立たないままに洗顔してしまうと、摩擦により肌へ負担をかけてしまうことがあります。
また、乾燥しやすい肌の方はマイルドな洗い上がりの洗顔料を選ぶなど、肌質や好みに応じて選ぶようにしても良いでしょう。
- 洗顔方法
洗顔方法については、ゴシゴシと力を込めてこするように洗顔せず、やさしい力加減で洗うようにしましょう。
肌の上で弾力のある泡を転がし、泡で汚れを落とすようなイメージです。
2-2.石油由来の“界面活性剤”に敏感になりすぎない
“界面活性剤”の種類は本当にたくさんあります。
また、現在の日本でつくられ認可されている化粧品には、肌に深刻なダメージを与える程の洗浄料はもともと含まれていません。
また、石油由来の“界面活性剤”は肌に悪く、植物由来の“界面活性剤”は肌に優しいと思ってはいませんか?でも実は、これらの表示には統一基準がないのです!
例えば、原料が植物と石油の両方で作られたものでも、「植物性“界面活性剤”」ということもできます。逆に、「石油系合成“界面活性剤”」と言われているものは、石油から作ることもできますが、植物を原料としてつくられているものも多いといわれています。
本来、化学的に合成して作られた“界面活性剤”は、原料ではなくその性質や構造によって、刺激の度合が決まるといわれています。
しかし、“界面活性剤”の構造といわれても一般的にはイメージしにくいため、言葉の雰囲気で、石油は悪く、植物は良いという表現がされがちなのです。
つまり、“界面活性剤”について「植物性」「石油系」といった分類で判断することは難しいので、上手に付き合って使いなすことが重要なのです!
3.“界面活性剤”は必要不可欠な存在
“界面活性剤”は、化粧品から食品まで、幅広く使われています。今日、“界面活性剤”は、世の中には無くてはならない存在と言えるでしょう。では、“界面活性剤”の使われ方を見ていきましょう。
3-1.大活躍の“界面活性剤”!!
化粧品における“界面活性剤”は、汚れを落とすことのほかにも、化粧品の様々な原料を馴染ませ、混ぜ合わせることもできます。化粧品を作る上で“界面活性剤”は必要不可欠な存在だといえます。
化粧品だけでなく、洗浄を目的とした“界面活性剤”は、油汚れを包み込んで水で洗い流すことができることから、食器洗い洗剤や洗濯用洗剤にも使われています。
また“界面活性剤”の中には、食品添加物として認められているものもあり、ホイップクリームやアイスクリームを作る際の、油と水を混ぜ合わせるためにも食用のものが使われています。
“界面活性剤”は、ほとんどが化学的に合成して作られるため、「合成“界面活性剤”」とも呼ばれていますが、自然由来のものとしては、レシチンやサポニンがあります。例えば卵黄のレシチンは、マヨネーズ作りに使われています。
4.石油由来・植物由来の“界面活性剤”について
現在の“界面活性剤”は、ほとんどが石油と植物の両方から作られています。
前述のとおり、「石油系合成“界面活性剤”」が悪く、「植物性“界面活性剤”」が良いというわけではありません。
“界面活性剤”の種類というのは、原料で決まるのではなく、最終的に合成されてできた“界面活性剤”の性質や構造によって決まるのです。
ここからは、それぞれの“界面活性剤”の一例をご紹介します。
4-1.植物由来の「石油系合成“界面活性剤”」
「石油系合成“界面活性剤”」と呼ばれているものは、実は石油は使われていないことの方が多く、最近では原料に植物性オイルが使われる場合が多いようです。
一般的に石油系合成“界面活性剤”と呼ばれているものには、以下のような種類があります。
- ラウリル硫酸ナトリウム
- ラウレス硫酸ナトリウム
- ラウリル硫酸アンモニウム
- ラウレス硫酸アンモニウム
- ラウリルスルホン酸ナトリウム
- キシレンスルホン酸ナトリウム
- スルホン酸ナトリウム
- パレス-3硫酸ナトリウム
- パレス-3硫酸アンモニウム
➡「スルホン酸」「~硫酸」「Na(水酸化ナトリウム)」「アンモニウム」などの名称があった場合は、石油系合成“界面活性剤”と言われています。
また、「ラウリル」ということばがついたものも多いですよね。「ラウリル」は「ラウリルアルコール」というアルコール原料から取った名前であり、主に「ラウリン酸」という脂肪酸から生成されます。
そして、この「ラウリン酸」は「ヤシ油」を主原料にしていることが多いのです。
ラウリン酸は石油からも取ることができますが、ヤシ油を原料にしたほうが、石油から取るよりも簡単に安く作ることができるといわれています。
4-2.石油由来の「植物性“界面活性剤”」
一般的に「植物性“界面活性剤”」と呼ばれているものは、主に「EO付加型“界面活性剤”」という“界面活性剤”を指します。その原料は、植物と石油の両方が使われていることが多いです。
“界面活性剤”は、油と馴染みやすい「親油基」と、水に馴染みやすい「親水基」を持ちます。
「EO付加型“界面活性剤”」の親油基は植物由来の脂肪酸などから成りますが、親水基は石油由来のEO(酸化エチレン)からできているものが多いです。
5.まとめ
“界面活性剤”についてご紹介しましたが、いかがでしたか?
“界面活性剤”について「肌に悪い」というイメージを持っていた方は、少し変わったのではないでしょうか。一般的に、石油由来や植物由来と呼んでいるのも、実はすごく曖昧な表現だったのですね。
クレンジング料や洗顔料は、使い方やコツをつかんで、“界面活性剤”と上手に付き合っていきましょう。
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